Ryzen Embedded R2514搭載、
低消費電力が魅力の「GMKtec G11」
公開日:更新日:
Ryzen Embedded R2514を搭載したデュアル2.5GbE搭載のミニPC。CPUとGPUの基本性能に加え、長時間のネットワーク通信とAC入力側の消費電力を実機でテスト。

AmazonでミニPCを購入しないと不安になる。禁断症状を和らげるために今日も選んだのはGMKtec G11のRyzen Embedded R2514搭載モデル。このCPUは、オートメーションやシンクライアント、ゲートウェイといった産業向け機器を想定した組み込み向けで、長期供給を重視した製品群に属する。4コア8スレッドのZen+ CPUと2基の2.5GbE LANを備えており、一般的な小型デスクトップとは少し性格が異なる。購入時の価格は49,999円。今回もCPU・GPU性能、ストレージ、内部構造、温度、消費電力を検証。ネットワーク性能については、番外編としてiPerf3による送受信それぞれ60分間の連続転送も実施した。
SELF-PURCHASED / AMAZON AFFILIATE
GMKtec G11 16GB / 256GB
レビュー機は自費で購入しています。本記事にはAmazonのアフィリエイトリンクを含み、リンクから商品が購入された場合、SFFMetricに紹介料が入ることがあります。
Ryzen Embedded R2514とデュアル2.5GbE
GMKtec G11が搭載するRyzen Embedded R2514は、AMDが2022年に発表したRyzen Embedded R2000シリーズのCPUだ。産業機器やシンクライアント、IoTなどを想定した組み込み向け製品で、CPUアーキテクチャにはZen+を採用する。
4コア8スレッド、ベースクロック2.1GHz、最大ブーストクロック3.7GHz、L3キャッシュ4MBという構成。標準TDPは15Wで、cTDPは12~35W。内蔵GPUは8CUのAMD Radeon Graphicsで、最大クロックは1,200MHzとなる。AMD公式資料に記載されたR2514の対応メモリ速度はDDR4-2667まで、上位モデルとなるRyzen Embedded R2544ではDDR4-3200だが、標準TDPが45Wになるため組み込み向けとはいいつつ、そこまで来るとRyzen 5と変わらなくなってくる。
Zen+は最新世代のRyzenとは異なる。数字上は4コア8スレッドでも、アーキテクチャやCPUクロック、メモリ帯域、電力設定によって実性能は変わる。低いTDPが、そのまま低いAC消費電力を意味するわけでもない。
| CPU | AMD Ryzen Embedded R2514 / 4C8T / Zen+ Up to 3.7 GHz / Base 2.1 GHz |
|---|---|
| GPU | AMD Radeon Graphics / 8CU / 最大1,200MHz |
| メモリ | 8GB×2 DDR4 SO-DIMM / 2,667MT/s KINSOTIN DDR4-8GB-NB-2666MHz |
| SSD | 256GB M.2 2280 NVMe / GMK 256GB PCIe 3.0 x4 / NVMe 1.4 |
| LAN | Realtek RTL8125BG 2.5GbE×2 |
| Wi-Fi | Mediatek MT7922A22 / 802.11ax(Wi-Fi 6E) |
| Bluetooth | Bluetooth 5.4(LMP 13.9481) |
| OS | Windows 11 Pro 26H2 |
| ACアダプタ | 19.0V / 3.42A / 定格64.98W |
| インターフェース | USB-A(USB 3.2 Gen 2)×2 USB-A(USB 3.2 Gen 1)×2 Type-C(USB 3.2 Gen 2)×1 HDMI 2.0×2 2.5GbE LAN×2 3.5mmオーディオ DC入力 セキュリティロックスロット |
| 本体サイズ(実測) | 127×129×53mm(縦×横×高さ) |
| 本体重量(実測) | 474g |
HWiNFOのシステム概要ではRyzen Embedded R2514、16GBメモリ、GMK 256GB NVMe SSDを確認した。メモリは8GB×2枚のDDR4-2667で、CPU-ZではDRAM周波数1,333.0MHz、2×64-bitを確認。BIOS / UEFIはG11 V1.02、Power Mode SelectはBalanceが選択されていた。


シンプルなプラスチック筐体
G11はダークグレーのプラスチック製筐体。特に変わった表面加工もされていないのでややチープな印象だ。天板と側面の間には細いスリット、底面には四隅のゴム足と吸気口、背面下部に排気スリット、その奥にはヒートシンクのフィンが見える。実測サイズは127×129×53mm、重量は474g。



付属品はACアダプタ、HDMIケーブル、マニュアル、VESA固定用プレートとネジ類、ACアダプタの表示出力は19.0V / 3.42A、64.98W。PSEマークも確認できる。


2基の2.5GbEと3画面出力
前面にはUSB-A(USB 3.2)×2、Type-C(USB 3.2)×1、3.5mmオーディオ端子と電源ボタン、背面にはUSB-A(USB 3.2)×2、HDMI 2.0×2、2.5GbE LAN×2、DC入力端子、左側面にはセキュリティロックスロットがある。


メーカー仕様ではType-C(USB 3.2)が最大10Gbpsのデータ転送とDisplayPort映像出力に対応する。HDMI 2.0×2と組み合わせた最大3画面の4K@60Hz出力も公称している。ただし、Type-C(USB 3.2)からG11本体への給電入力には対応しない。
2基の有線LANはRealtek RTL8125BGで、2つの異なるMacアドレスを持つRealtek Gaming 2.5GbE Family Controllerを認識しており、後述するiPerf3を使った30秒・60分の両方向測定で約2.37Gbpsを記録している。

SO-DIMMと2基のM.2スロット
分解は底面のゴム足部分かと思いきや天板からで、隙間に指を入れてそこそこ力を入れるとガバッと取り外せる。天板側のツメが引っかかっているだけなので、メンテナンス時はツメを折らないように注意したい。
天板を外すとメモリとSSD、無線LANカードが現れ、周辺は一体型のカバーで覆われている。DDR4 SO-DIMMスロットが2基、M.2 2280 SSDスロットが2基用意される。メーカー仕様によればメモリは最大32GB、ストレージは各スロット最大8TB、合計最大16TBに対応する。標準SSDはヒートシンク付きで、2つのゴムバンドで固定されている。








レビュー個体は「KINSOTIN DDR4-8GB-NB-2666MHz」の8GB SO-DIMMを2枚搭載。CPU-Zでは総容量16GB、デュアルチャネル(2×64-bit)、DRAM周波数1,333.0MHzを確認。DDRの実効転送レートは約2,667MT/sで、R2514の公式上限と同じだ。KINGSTONメモリかと思いきや「KINSOTIN」なので注意してほしい。
標準SSDはM.2 2280タイプの256GBモデルで、実物ラベルには「GMK」「PCIe Gen3x4 M.2 2280」「256G」と記載される。CrystalDiskInfo 9.9.2上の名称は「GMK 256GB」で、接続はPCIe 3.0 x4、NVMe 1.4、測定時45℃。
コントローラはミニPCでよく見かけるMaxio製MAP1202-F2Cを採用しているが、NANDには刻印そのものがなく、メーカーや種類は確認できなかった。ベンチマーク上の性能に目立った問題は見られなかったが、詳細の分からないNANDが使われているというのはマイナスポイントだ。ちなみに空きスロット側もNVMe SSD装着時はPCIe 3.0 x4での動作を確認した。
冷却構造
GMKtecの製品説明では銅製ヒートパイプ1本とファン1基を使用する。分解写真ではブロワー型ファン、横長のフィン付きヒートシンク、背面側へつながる排気経路を確認できる。写真には写っていないが、隙間を覗くと銅製のヒートパイプが見えた。



旧世代Zen+のCPUとGPU性能
Cinebench 2026
Cinebench 2026.1.3ではCPU Multi Threadが733pts、CPU Single Threadが223pts、MP Ratioは3.29xだった。どちらも10分のTest Throttlingを設定して測定している。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| CPU Multi Thread | 733pts |
| CPU Single Thread | 223pts |
| MP Ratio | 3.29x |

高負荷区間では平均実効クロックが約2.137GHz、区間内最大が約2.280GHz。CPU温度は平均57.1℃、最大58.5℃で、CPUパッケージ電力は平均20.0W、最大20.2Wだった。AC入力側のシステム消費電力は同区間平均26.2W、最大約28.4Wとなっている。CPU Performance / Wattは733 ÷ 26.22Wで約28.0 pts/Wとなる。
800秒を過ぎたあたりからCPUの温度上昇が落ち着き、約27分にわたる高負荷中も、平均実効クロックはほぼ一定だった。
Cinebench 2026 温度・実効クロック・AC消費電力推移
PCMark 10
PCMark 10はValid scoreで3,760。内訳はEssentialsが6,052、Productivityが8,654、Digital Content Creationが2,755だった。
Productivityの相対的な高さに対し、画像や動画編集などの項目を含むDigital Content Creationは低めで、日常的な作業は問題ないが処理性能が求められるシーンではやや厳しい印象だ。
BENCHMARK / MEASURED
CPU・システム・ストレージ
| 項目 | Score |
|---|---|
| Overall | 3,760 |
| Essentials | 6,052 |
| App Start-up | 3,886 |
| Video Conferencing | 6,911 |
| Web Browsing | 8,256 |
| Productivity | 8,654 |
| Spreadsheets | 8,232 |
| Writing | 9,098 |
| Digital Content Creation | 2,755 |
| Photo Editing | 4,688 |
| Rendering and Visualization | 1,911 |
| Video Editing | 2,336 |

3DMark
Night Raidは6,129、Fire Strikeは1,587、Steel Nomad Lightは547、Time Spyは648だった。Steel Nomad Lightの描画速度は4.06FPS、Time SpyのGraphicsは578で、内蔵GPUの3D性能には余裕が小さい。負荷の軽いタイトルや古めのゲームを、解像度や画質設定を調整しながら使うのが現実的だ。
| テスト | 総合 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| Night Raid | 6,129 | Graphics 7,217 / CPU 3,307 |
| Fire Strike | 1,587 | Graphics 1,771 / Physics 6,941 / Combined 541 |
| Steel Nomad Light | 547 | Graphics 4.06FPS |
| Time Spy | 648 | Graphics 578 / CPU 2,128 |




3DMark CPU Profile
CPU ProfileはMax threads 1,218、16 threads 1,197、8 threads 1,216、4 threads 1,050、2 threads 705、1 thread 443だった。スレッド数が少ない場合は徐々にスケーリングするが、8スレッド以降は伸び悩みスケーリング性能はあまりない。
| Threads | Score |
|---|---|
| Max threads | 1,218 |
| 16 threads | 1,197 |
| 8 threads | 1,216 |
| 4 threads | 1,050 |
| 2 threads | 705 |
| 1 thread | 443 |

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー
Ryzen Embedded R2514でFF14はやらないと思うが、実際の3Dゲームプレイを想定した環境として参考になる。
1920×1080 標準品質(ノートPC)とした場合でもスコアは2,091で「設定変更を推奨」となっている。画質設定を落としても余裕は小さく、負荷の軽いタイトルやブラウザゲーム程度なら動くという感じだ。
| 設定 | Score | 判定 |
|---|---|---|
| 1920×1080 高品質(デスクトップPC)/ FSR | 1,504 | 設定変更が必要 |
| 1920×1080 標準品質(ノートPC)/ FSR | 2,091 | 設定変更を推奨 |


FF14 黄金のレガシー 高品質時の負荷と消費電力
FF14 高品質 CPU・GPU温度とクロック推移
CrystalDiskMark
標準256GB SSDをCrystalDiskMark 9.0.3 x64、8GiB・3回で測定した。SEQ1M Q8T1は読み込み3,102.04MB/s、書き込み1,711.10MB/s。CrystalDiskInfoのPCIe 3.0 x4認識、無刻印NANDが気になって仕方ないが、一応NVMeクラスの速度は出ている。
ただし256GBの限られたストレージ容量は、今回のテストを実施するにあたって、Windowsアップデートや各種ベンチマークソフトをインストールすると使用率は全体の40%を超えてしまった。ローカルにデータを保存する用途には向かない。
| テスト | Read | Write |
|---|---|---|
| SEQ1M Q8T1 | 3,102.04 MB/s | 1,711.10 MB/s |
| SEQ1M Q1T1 | 1,972.70 MB/s | 1,711.05 MB/s |
| RND4K Q32T1 | 307.57 MB/s | 125.52 MB/s |
| RND4K Q1T1 | 49.15 MB/s | 83.37 MB/s |


ブラウザベンチマーク
低価格帯のミニPCでは、CPUの絶対性能だけでなく、普段使いのWebアプリがどれだけ軽快に動くかも重要だ。Microsoft Edgeを使い、Speedometer 3.1とJetStream 2.2をそれぞれ3回測定した。
Speedometer 3.1は、実際のWebアプリ操作に近いワークロードを使うテストで、Webブラウジングやブラウザベースのアプリを中心とした普段使いの軽快さを見る指標として扱っている。13.6、13.5、13.5の3回平均13.5。
JetStream 2.2は、JavaScriptやWebAssemblyを中心とした処理性能を見るテストで、SpeedometerよりCPUとブラウザエンジン寄りの性能が反映される。181.883、181.675、183.640の3回平均182.399だった。いずれも今回の3測定間で極端なばらつきは見られなかった。
| テスト | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 3回平均 |
|---|---|---|---|---|
| Speedometer 3.1 | 13.6 | 13.5 | 13.5 | 13.5 |
| JetStream 2.2 | 181.883 | 181.675 | 183.640 | 182.399 |






iPerf3による2.5GbE LAN ベンチマーク
デュアル2.5GbEの実効速度
G11は2基の2.5GbE LANを搭載する。1GbEより高速なリンク速度に加え、LANポートを別々のネットワークに接続できる点が特徴だ。まず「イーサネット 2」(クライアント側の表示名)に対してiPerf3の30秒・TCP・4 Parallel Streamsで送受信を計測した。G11をクライアント、対向PCをサーバーとして測定し、両方向とも2.37Gbpsを記録。2.5GbEのリンク速度に対して約94.8%に相当する。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| プロトコル | TCP |
| Parallel Streams | 4 |
| 測定時間 | 各方向30秒 |
| G11側NIC | Realtek Gaming 2.5GbE Family Controller、「イーサネット 2」/1ポートのみ測定 |
| 接続 | LANケーブルでPC間を直接接続 |
IPERF3 / 30 SECONDS / 4 STREAMS

番外編:60分連続転送 / TCP / 4 Streams
今回は産業向けCPUであるRyzen Embedded R2514を搭載しているので、組み込みやアプライアンス用途を想定し、双方向3,600秒、計2時間のTCP転送を実施した。
| 項目 | G11 → Server | Server → G11 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 3,600秒 | 3,600秒 |
| Parallel Streams | 4 | 4 |
| iPerf3最終receiver平均速度 | 2.37Gbps | 2.37Gbps |
| iPerf3最終receiver転送量 | 993 GBytes | 994 GBytes |
| 1秒SUMの平均(表示値から再計算) | 2.370Gbps | 2.371Gbps |
| 1秒SUMの最小~最大 | 2.36~2.38Gbps | 2.37~2.38Gbps |
| 2.3Gbps未満/0bps区間 | 0/0 | 0/0 |
| 前半10分平均/後半10分平均(表示値) | 2.3699/2.3701Gbps | 2.3707/2.3705Gbps |
送信・受信それぞれの1秒SUMを3,600区間ずつ照合したところ、継続的な転送速度低下や通信中断を示す区間はなく、長時間のデータ転送でも一貫した速度を維持している。

iPerf3 60分連続転送の実効速度
60分転送中の温度・AC入力
60分連続のiPerf3実行時にログを取得。送信開始から終了までの区間を集計すると、G11本体のAC入力は送信時平均22.6W、受信時平均23.0Wだった。
| 測定値 | G11 → Server | Server → G11 |
|---|---|---|
| CPU温度(Tctl/Tdie)平均/最大 | 53.3℃/60.9℃ | 54.2℃/61.6℃ |
| CPUパッケージ電力平均 | 16.4W | 17.0W |
| CPU使用率平均 | 7.9% | 9.4% |
| AC入力側平均/瞬間最大 | 22.6W/32.4W | 23.0W/32.6W |
iPerf3 60分連続転送中のCPU温度
iPerf3 60分連続転送中のAC消費電力
CPUの持続性能と冷却の挙動
G11のメーカー仕様には静音15W、バランス20W、パフォーマンス25W、ピーク最大35Wの動作モードが記載されている。今回はBIOSデフォルト設定の「Balance」で測定している。
Cinebench測定時のCPU使用率は平均99.9%、コア実効クロックは平均2,137MHz、CPU (Tctl/Tdie)は平均57.1℃、同区間最大58.5℃、CPUパッケージ電力は平均20.0Wになった。
高負荷区間の前半10分と後半10分の実効クロック平均はそれぞれ約2,136MHz、約2,141MHzで、継続的な低下は読み取れなかった。HWiNFOのサーマルスロットリング(HTC / PROCHOT CPU / PROCHOT EXT)フラグは、すべてのセンサーログで「いいえ」。なおCSV全体のCPU温度瞬間最大は67.8℃となっている。
アイドルと高負荷時の消費電力
G11のRyzen Embedded R2514は標準TDP 15Wだが、ミニPC全体の実際の消費電力はメモリ、SSD、LAN、冷却ファン、ACアダプタなどの影響も受ける。コンセントとACアダプタの間にワットチェッカーを接続し、PC本体のAC入力を測定した。
24時間連続稼働を考えると、アイドル時と日常的な通信負荷の消費電力が効いてくる。アイドル参考値はAC入力中央値10.3W、ネットワークの60分連続転送中は送信平均22.6W、受信平均23.0Wだった。